パパリーマン書店の店長”くろんぼ”です。
今回、紹介したい本は
『部下をもったらいちばん最初に読む本』です。
この記事は”5分で読める”要約となっており、
忙しい人でも効率よく読書体験ができます
ひとこと要約
「マネジメントは技術が9割」
本書はこの言葉から始まります。
プレイヤーとして優秀であれば、いつかマネージャーになる日が訪れます。
しかし、ほとんどの場合はマネジメントについて学ぶ機会もないまま、変わる人が多いと思います。
ぜひマネジメントについて学びたいという方におすすめの1冊です。
今回学ぶことができるのは「リードマネジメント」
リードマネジメントで学ぶ技術は5つです。
- リーダーシップの技術
- 個人の成長支援の技術
- 水質管理の技術
- 委任する技術
- 仕組み化する技術
この5つの技術を身につければ、組織のパフォーマンスを最大化することができます。
マネージャーとして追うのは「目標達成」ではなく、「メンバーの育成を通した目標達成」です。
マネージャーの仕事は、組織を通して自分1人ではできないことを成し遂げることができる素晴らしい仕事です。
しかし、優秀なプレイヤーがマネージャーになると、どうしても自分を基準で考えてしまいます。
これはとても危険です!
「私と同じになれ」は通用しないのです。
相手の願望や適正・能力を見極めながら部下を育てることが必要です。
リードマネジメントにおいて最も大事な考え方は、こうです。
何かの行動を”選択できる”のは自分=本人だけであり、他者がその行動を直接”選択させる”ことはできない
部下を外部からの刺激によって変えることはできません。
しかし、部下自体が変わることができます。
リードマネジメントは「いかにして部下自身が内発的な変化を起こす手伝いができるか?」を技術化したものです。
- これからマネージャー職になる
- チームの成果を最大化したい
- どうやって部下と接すればいいかわからない
著者
橋本 拓也(はしもと たくや)
アチーブメント株式会社 取締役営業本部長
千葉大学卒業後、2006年アチーブメント株式会社に入社。
入社1年目で新規事業の責任者に抜擢され家庭教師事業を立ち上げるも、5年で事業閉鎖。
2008年よりメンバーマネジメントに携わるが、異動・退職などが多く、7年間マネジメントの無免許運転期間を過ごす。
その後、世界60カ国以上で学ばれている「選択理論心理学」を土台にしたマネジメントに取り組む。
マネジメントが激変して、メンバーおよび組織の飛躍的な成長を創り出す。
2021年に新卒初の執行役員、2022年に取締役に就任。
現在は130人以上のメンバーマネジメントに携わり、2023年に開講したマネジメント講座は累計1000以上が受講。
要約
リードマネジメントで学ぶ技術は5つです。
- リーダーシップの技術
- 個人の成長支援の技術
- 水質管理の技術
- 委任する技術
- 仕組み化する技術
今回の技術は、大きく分けると「部下育成」と「組織効率の向上」の2つに分けることができます。
「リーダーシップの技術」「個人の成長支援の技術」は1対1のマネジメントです。
「水質管理の技術」「委任する技術」「仕組み化する技術」は1対多のマネジメントです。
今回はその中でも、前者の1対1のマネジメントについてまとめさせていただきます。
リーダーシップの技術
メンバーから「この人についていきたい」「この人のために一肌脱ぎたい」と思ってもらうための技術です。
リードマネジメントを実践するにあたって最優先でやらなければいけないのがこのステップです。
- 何のために
- 誰のために
- なぜ我々がこの組織であるのか
- 何のためにチームが存在しているのか
このような根本を語り「だからこの目標へ向かう」という目的からくる未来を示す必要があります。
リードマネジメントでは、”上質世界”という考え方があります。
5つの欲求を満たすものが蓄積されている
→「願望」がイメージとして近い
ここで登場する5つの基本的欲求とは、誰しもが持っているものです。
- 生存の欲求
飲食や睡眠、生殖などの身体的な欲求 - 愛・所属の欲求
満足な人間関係を求める欲求 - 力の欲求
認められたい、勝ちたい欲求 - 自由の欲求
自分のやりたいようにしたい欲求 - 楽しみの欲求
新しい知識を得たい欲求
上質世界には、その人の「好きな人、モノ、コト、場所、シチュエーション、価値観、信条」などが蓄積されています。
マネージャーが目指すべきステップはこうです。
上質世界にあるものを知る
いれてもらうためのアプローチ
入れるように拡張する
上質世界に入れてもらうためには、信頼関係を築く必要があります。
- 傾聴する
相手の話を途中で遮らずに最後まで聞く - 支援する
相手の目的を達成するために必要なアドバイスや情報提供を行う - 励ます
うまくいっていない人や、失敗してしまった人に対して、未来へつながるプラスの力づけをする - 尊敬する
相手を「自分よりも有能である」と考えて、具体的に自分より優れているところを言葉にして伝える - 信頼する
相手に対して「この領域で力を発揮してくれる存在である」と、信じて任せる - 受容する
自分と意見が異なる場合に「いや、違う」と真っ向から否定しない - 違いを交渉する
1~6までを実践したあとに「Iメッセージ」で伝える
しかし、メンバーがあなたを上質世界にいれるかどうか、最終的な判断はメンバー側にあります。
マネージャーがメンバーをまずマネージャー自身の上質世界の中に入れる努力をすることが大事です。
そのために必要な行動が
「相手に興味を持つこと」です。
個人の成長支援の技術
メンバー個々の目的・目標を明確にして、それを達成に導く技術です。
マネージャーは、メンバー自身の目的・目標をメンバー自身が達成するためのナビゲートやアドバイスをします。
「目的・目標」とは何でしょうか?
目標は「数値や期日があるもの」のことです。
個々に課せられている達成すべき数字や締切を意味します。
ただ、人は「目標」だけでは動きません。何より人を動かすのは「目的」です。
目的は「何のために、誰のために、なぜあなたがそれをするのか」という目標を達成するために必要な動機の部分です。
目的・目標をわかりやすく理解するために『3人の石工(3人のレンガ職人)』の有名な逸話を紹介します。
ある建築現場で、3人の石工が一生懸命に石を積んでいました。
それぞれの職人に「あなたは何をしているのか?」と尋ねました。
1人目の石工は「この仕事で生計を立てているのさ」を答えました。
2人目の石工は「この国で一番上手な石切の仕事をしているのさ」と仕事の手を休めずに答えました。
3人目の石工は「未来の大聖堂を作っているのさ」と目を輝かせながら空を見上げて、まるで夢を見るように答えました。
引用元:『マネジメント』ピーター・F・ドラッカー
3人の石工たちは、石を切って建物を建造するという同じ目標を持っていますが、それぞれの目的が違います。
1人目・2人目の石工は、この組織でなくても、より報酬が良くて、よりスキルアップが見込めそうな組織でもできます。
3人目の石工は、一人ではできないことを組織の力で成し遂げるという利他的な目的が加わっています。
リードマネジメントでマネージャーが目指すのは「3人目の石工」のようなメンバーを育てることです。
しかし、ある研究では世の中の95%の人は願望が曖昧だといいます。
ですから、そもそも目的が明確ではない人の方が多いことを心づもりにして関わりを持つようにしましょう。
それでは目的は明確ではない場合は、どのような関わり方をすればいいでしょうか?
具体的な関わり方を3つ紹介します。
マネージャー自身の目的を自己開示する
最初から質問ばかりになると、尋問のようになってしまい心を閉じてしまってしまうこともあります。
まずはマネージャー自身について自己開示することも有効です。
- どんな目的を持って働いているのか?
- この仕事にどんな意味を感じているのか?
- なぜこの会社に入り、何を成し遂げたいと思ったのか?
質問レパートリーを増やす
ただ単調に「どうなりたいのか?」と尋ねるのは、マネージャー側の質問のレパートリーが少ないとも言えます。
- これまでの人生で一番充実していたものは何だったのか?
- 会社で充実感を得るためにはどのような状態が理想だと思うのか?
- お客様にとってどのような担当でありたいか?
- チームの仲間やチーム全体にどのような貢献していきたいか?
理想を実現するために、メンバー自身がどのような成長や挑戦ができると良いかまで最終的に落とし込んでいきます。
「期待」を伝える
本人が明確な目的・目標を持てていなくても、本人の強みや適性、才能をしっかりと理解します。
そのうえでメンバーがどのような成長を遂げ、どのようにこの会社で自己実現してもらいたいかを伝えることも大切です。
「私があなたに期待していることがあるので伝えてもいいかな?」と前置きするのが効果的です。
そして個々の目標・目的に適切なフィードバックを行います。
フィードバックには2種類あります。
1つ目は、良かったことを伝える
「ポジティブ・フィードバック」です。
相手のどういうところが良かったのか、今回すごく助けてもらったところ、相手への感謝など言葉にして伝えます。
ポイントは、具体性です。
「このような行動で、このようないい影響が周囲にもたらされた」「私はこのように感じた」など具体的に伝えます。
2つ目は、耳の痛いことを伝える
「ギャップ・フィードバック」です。
伝えるべき内容は「現状の把握」「問題点のすり合わせ」「改善計画の立案」の3つの段階に分けることができます。
例えば、遅刻について伝えるとしたらこうなります。
(現状の把握)
今日、本来は9時にミーティング開始のところを君は9時10分に参加してきましたね
(問題点のすり合わせ)
そのためにもう一度要点を繰り返し説明する時間も取り、他のメンバーは一度理解したことをもう一度重複して聞くことにもなりました。遅刻は今回で3回目でしたね。私はとても残念に思いました
(改善計画の立案)
もしも同じことが起きたら、次はどうする?
問題が起きる前日に戻れるとしたら、どう行動する?
ここでNGなのが、「遅刻した君は不誠実だ」「君の遅刻でみんなが迷惑した」というYOUメッセージにならないこと。
「私は遅刻をとても残念に感じたんだ」などの「私は」という主語で表現することです。
そして、それを決して感情的にならずに伝えます。
まとめ
リードマネジメントは「メンバーの成長を通して組織パフォーマンスを最大化すること」を目指すマネジメント手法です。
成長とは個々の目的・目標の達成であり、マインド・ノウハウ・スキルの向上です。
最終的には人が育っていくことでマネージャーの未来投資に使うことができ、組織パフォーマンスも上がってきます。
私もマネージャーになったとき、自分の思うように動いてくれないと悩んでいました。
まず「自分の思うように」という時点で、部下を駒としか捉えていなかったのです。
当然、部下には興味がないと言っていました。
私も多くの上司と仕事をしてきましたが、結果として感謝している上司は見ている時間軸が長いです。
短期的に結果だけを求める上司は「今」にフォーカスします。
長期的に成長を求める上司は「未来」にフォーカスします。
本書の言葉で一番心に刺さった言葉を紹介します。
今回は本書の中でも前半部分の「1対1のマネジメント」だけ紹介できておりません。
ぜひ後半部分の「1対多のマネジメント」も読んでみてください。