パパリーマン書店の店長”くろんぼ”です。
今回、紹介したい本は「幸せになる勇気」です。
この記事は”5分で読める”要約となっており、忙しい人でも効率よく読書体験ができます
- どんな内容なのか
- どんな悩みを解決できるか
- 著者について
- 本の要約
- 本の感想
- オーディオブックの基本情報
”オーディオブック”を活用すればもっと効率よく読書体験できます
ひとこと要約「アドラー流の教育論」
本書は世界的ベストセラー『嫌われる勇気』の続編で、アドラー心理学を用いた物語の完結です。
『嫌われる勇気』の主人公である青年は、教師の道を歩んでいました。
教育の舞台で、アドラーの思想を青年は律儀に守ったそうです。
試験で満点をとってもほめず、宿題を忘れても叱らない、授業中に騒いでいても何も言わない。
その結果、生徒は言うことを聞かず教室は荒れてしまったと青年は悩んで、また再び哲人を訪ねてきました。
アドラー心理学が示す教育論とは?
キーワードは「自立」です。
本書の個人的な感想は「アドラー心理学×教育」という印象が強かったです。
ただし、教育といっても教育現場にいる人のためだけの内容ではありません。
- 子育てをしている親
- 部下がいる上司
- 経営者や経営幹部
- 先輩と呼ばれている人
1人でも導くべき人がいる人におすすめです。
パパリーマンの悩み
『嫌われる勇気』の続編が読みたい!
『嫌われる勇気』はKING OF 自己啓発と言われるぐらい多くの人に影響を与えました。
私も感銘をうけた1人です。
『嫌われる勇気』でゴール(目指すべき姿)は理解できたけど、具体的にどのような行動したらいいのかわからない。
きっと本書を読めば、アドラー心理学の理解に近づくことができます。
- 『嫌われる勇気』を読んで、
さらに理解を深めたい人 - 子育てをしている親
- 新人や部下の教育をしている先輩や上司
著者
岸見 一郎(きしみ いちろう)
哲学者。1956年京都生まれ。
高校生のころから哲学を志し、大学進学後は先生の自宅におしかけては議論をふっかけていた。
専門の哲学(西洋古代哲学)と並行して、1989年からアドラー心理学を研究。
精神科医院などで多くの”青年”のカウンセリングを行う。
著書に『アドラー心理学入門』など多数。本書では原案を担当。
古賀 史健(こが ふみたけ)
株式会社バトンズ代表。
ライター。1973年生まれ。
書籍のライティングを専門とし、ビジネス書やノンフィクションで数多くのベストセラーを手掛ける。
20代終わりにアドラー心理学と出会い、常識を覆すその思想に衝撃をうける。
その後、何年にわたり岸見一郎氏を訪ね、アドラー心理学の本質について聞き出す。
本書ではギリシア哲学の古典的手法である「対話篇」へと落とし込んだ。
要約
まずは『嫌われる勇気』をおさらいしてみます。
- 「原因論」ではなく「目的論」
- すべての悩みは対人関係
- 自分の課題と他者の課題を切り分ける
『嫌われる勇気』についてもっと詳しく知りたい人はこちらを読んでみてください。
書籍のあとがきではこのように2つの書籍が紹介されています。
- 『嫌われる勇気』
-
アドラー心理学を知り、アドラーの思想の全体を俯瞰するための「地図」のような1冊
- 『幸せになる勇気』
-
アドラーの思想を実践し、幸福なる人生を歩むための「コンパス」のような1冊
では内容の説明をしていきます。
教育の目標は「自立」である
アドラー心理学の掲げる目標はこうです。
アドラー心理学の考える教育とは、
自立に向けた援助です。
子どもたちが社会的に自立するにあたって、さまざまなことを知っていかなければいけません。
- 交通ルールを知らないまま、社会に放り出されたらどうなるか?
- 自動車の運転技術を知らないまま、運転席に座らせたらどうなるか?
もちろんこのようなルールは教えるべきです。
ただし、アドラー心理学では人間として幸福に生きるための「知」も教えるべきだと考えます。
- 共同体の中でどのように生きるべきか
- 他者とどのように関わればいいのか
- どうすれば共同体に自分の居場所を見出すことができるのか
まずは尊敬の念を持ちましょう
自立の援助のためには、教える側に立っている人間が、教えられる側に立つ人間のことを尊敬することから始めます。
他者を変えようとも操作ともしないこと。
何かの条件をつけるのではなく、
ありのままを認めること。
いや、でも簡単に尊敬なんてできるものではない・・・
会社の対人関係でも、恋人との関係でも、もっと他人の関心事に関心を寄せる必要があります。
他人の関心事に関心を寄せるとは、他者の目で見て、他者の耳で聞き、他者の心で感じること。
一般的に言われる相手の意見に同調することではなく、他者に寄り添う技術であり態度である。
そして技術である以上、誰でも身につけることができます。
問題行動の5段階
なぜ、子どもたちは問題行動に走るのか?
そこに隠れた「目的」に注目します。
- 称賛の要求
- 注意喚起
- 権力争い
- 復讐
- 無能の証明
STEP1 「称賛の要求」
- 子どもが親に向けていい子を演じる
- 会社員が先輩や上司に向けて、やる気や従順さをアピールする
目的:「ほめてもらいたい」
一見すると問題がないように感じます。
しかし、いいことをしているのではありません。
ただ、ほめられることをしているだけです。
誰からもほめられないのなら、こんな努力に意味がないと意欲を失います。
具体的にはなにかいいことをしたときに注目するのでなく、もっと日頃の些細な行動に目を向ける。
そして、その人の「関心事」に注目し、共感を寄せていく。
STEP2 「注意喚起」
- 授業中に騒ぐ
- 教師をからかう
- しつこく食い下がる
- 忘れものを繰り返す
- 泣いたりする
目的:「とにかく目立ってやろう」
せっかくいいことをしたのに、ほめられない。
ほめられることを諦めて、とにかく目立つことだけを考えます。
この段階における子どもたちの行動原理は「悪くあること」ではなく「目立つこと」です。
特別である必要はない、そのままで十分に価値があると伝える。
STEP3 「権力争い」
- 親や教師を罵って挑発をする
- 癇癪を起こして暴れる
- 万引きや喫煙などルールを破る
- 勉強や習い事を拒絶する
目的:
「この戦いに勝利して力を知らしめたい」
誰にも従わず、挑発を繰り返し、戦いを挑む。
別に勉強をしたくないわけでも、勉強が不要だと思っているわけではなく、ただ不従順を貫いて、力を証明したいだけです。
相手の挑発に乗って、叱ってはいけません。
腹立たしそうな表情を浮かべるだけでも、挑発に乗っていることになります。
法に触れる問題であれば、法に従って対処しましょう。
STEP4 「復讐」
- ストーカー行為
- 自傷行為
- 引きこもり
- 非行グループや反社会勢力に入って犯罪に手を染める
目的:「復讐をしてやろう」
権力争いを挑んだのに、勝利を収めることができず、特権的な地位を得ることもできない。
戦いに敗れた人は、認めてくれなかった人、愛してくれなかった人に、復讐をしようと考えます。
STEP1~STEP3は「もっとわたしを尊重してほしい」という、愛を乞う気持ちの表れでした。
ところが、それが敵わないとわかった瞬間、人は一転して憎しみを求めるようになります。
あなたが復讐の相手なら、あなたができることはなにもありません。
あなたが手を差し伸べようとすればするほど、復讐の機会がきたばかりに言動がエスカレートしていきます。
利害関係のない、まったくの第三者に助けを求めるしかありません。
STEP5 「無能の証明」
- なにごとにも無気力になる
- 簡単な課題にも取り組もうとしなくなる
- 周囲からの期待も拒絶するようになる
目的:「わたしに構わないでくれ」
特別な存在として扱われようとさまざまな策を講じてきたもの、どれもうまくいかない。
親も教師も友達も、憎むことさえしてくれない。
学校にも家庭にも自分の居場所を見いだせない。
人生に絶望し、自分のことを心底嫌いになり、自分には何も解決できないと信じ込む。
残念ながら、あなたにできることはありません。
専門家に頼るしかありません。
無能の証明をはじめた子どもたちを援助していくことは、専門家にとってもかなり困難な道です。
叱ってもなにも解決しない
問題行動の5段階の目的は、共同体のなかに特別な地位を確保することです。
なぜ青年の学級は荒れてしまったのでしょうか。
最初から威厳をもって、厳しく叱りつけていれば問題は起きなかったでしょうか?
どこの学校にもいつも叱っている先生がいます。
でも叱ることが教育上の有効手段であれば、なぜその先生はいつまでも叱り続けないといけないのでしょうか。
アドラー心理学において、「叱る」という手段は教育上なんら有効でないと考えます。
なぜなら、彼らの問題行動はあなたに叱られることまで含んだ上での問題行動だからです。
叱るのは、コミニュケーションすることを煩わしく感じ、手っ取り早く屈服させたいからです。
さらに自立してしまうことを恐れているから。
もう少し踏み込むと、自立をして自分と対等になるのを妨げたいという想いがあるからです。
教育する立場にある人間は、常に「自立」という目標を掲げておかねばならない。
たとえば、あなたが子どもに「友だちのところに遊びに行ってもいい?」と聞かれたとします。
- 「もちろんいいよ」と許可を与える
- 「宿題をやってから」と条件をつける
- 「遊びに行っちゃだめ」と禁止する
これではあなたは子どもを支配下においた発言で、自立を援助する行動ではありません。
- 「それは自分で決めていいんだよ」と教える
自分の人生も日々の行いも、すべて自分で決定するものなのだと教えることが必要です。
そして決めるにあたって必要な材料(たとえば知識や経験)があれば、それを提供していくこと。
それが教育者のあるべき姿です。
子どもの決断を尊重し、その決断を援助します。
いつでも援助する用意があることを伝え、近すぎない、援助出来る距離で見守ることが必要です。
ほめて伸ばすも否定する
叱ってはいけないというのは理解できたが、なぜほめてもいけないのか?
ほめることは、能力がある人が、能力のない人に下す評価であり、その目的は操作しようとする行為である。
ほめられることを目的とする人々が集まると、その共同体には「競争」が生まれます。
他者がほめられれば悔しいし、自分がほめられれば誇らしい。
そうすると、競争相手を「敵」とみなします。
仲間の足を引っぱったり、他人の手柄を横取りしたり、自分だけ認められようと媚びを売る人々ばかりになってしまいます。
これは学校でも家庭でも同じことが言えます。
ほめるというのは、相手の承認欲求を刺激して操作をしようとする行為です。
アドラー心理学では、承認欲求を否定します。
親であれ、教師であれ、他の誰かの期待を満たす行き方を選んではいけない。
ほめることは共同体のなかに競争原理を生み、子どもたちに「他者は敵である」というライフスタイルを植え付ける。
まとめ
本書はアドラー心理学の実践編です。
その中でも今回の要約は、「教育」という部分だけを抽出しました。
私も子育てをしている父親です。
正直、子どもを叱ってしまうことも少なくありません。
でもそれで状況が変わるかというと、一時しのぎで何も根本的に解決はしていない。
わかっていてもどうしたらいいのかわからない。
もし同じ悩みを抱えている人がいれば、ぜひ読んでいただきたい内容です。
本書の内容は、「教育」だけのテーマではなく、ひいては「どうすれば人は幸せになるのか」まで説明してくれています。
今回紹介しきれていない部分が気になる方は、ぜひ一度読んでみてください!
オーディオブックの基本情報
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『audiobook.jp』
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単品購入 | 1,650円 |
ナレーター:小林 範雄,市村 徹
再生時間:6時間34分
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ナレーター:てらそま まさき, 金野 潤
再生時間:6時間30分
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